tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

学卒就職ルールに妙案はあるのか

2015年09月05日 09時00分47秒 | 教育
学卒就職ルールに妙案はあるのか
 学卒就職のルールに何かうまい方法はないのか、ルールが変わるごとに学生も思い悩み、企業も大変な手間と費用をかけ、政府も介入しますが、「学生が卒業まできちんと勉強し」「企業は望ましい学生にアプローチできる」ようなことにはないっていません。

 考えてみれば、これは当たり前のことで、そんな巧いことが在ると思う方がおかしいのかもしれません。
 就活も婚活も似たところがあるのかもしれませんが、企業と人(あるいは人間どうし)が広い社会の中で、最も適切な方法で結びつくなどというのは土台無理な話でしょう。

 かつては日経連時代に「就職協定、(1952~96年)」があり、高速道路のスピード標識などといわれ(80kmと書いてあっても皆100kmで走っている)、97年から縛りの無い「倫理憲章」になったと記憶します。
 そして今年から安倍政権の要請で、4月選考開始が4か月後ろ倒しとなりました。

 もともと産学の申し合わせで「倫理」の問題に政府が介入したのですが、今の経団連は「産業界」といっても大企業の組織体ですから、中小は倫理憲章の適用は受けないと考え、先に内定を出します。しかし大企業の選考が始まると、内定は大分反故になるでしょう。
 学生は、かえって就活に手間と時間がかかると感じるようです。

 就職氷河期と言われた時代には、現実には、学生の就職は今よりずっと大変でしたが、就職協定の問題はあまり表に出ませんでした。就職環境がずっと良くなった今、問題が激化しているのです。
 そういえば、以前の就職協定も、「青田買い」などが問題になって、深刻化していました。

 「学生が卒業まで落ち着いて勉強できるように」と言うのは、確かに大義名分でしょう。しかしそれを選考開始の期日を何時にするかで解決しようなどというのは発想の貧困でしょう。

 さらに言えば、就活の本当の問題は、学生と企業の出会いの機会を出来るだけ増やすということでしょう。そうならば、期間など区切らずに、1年生からでも、学生と企業の接触できる「多様」な機会を出来るだけ多く準備するとか、インターンシップを活用(単位も認定)して学生の職場や企業への理解を深めるとか、もっと多様な方法に知恵を絞るべきでしょう。

 学生は通常、卒業したら就職しなければならないのです。それなのに両者の接触の期間を短くして、あとは勉強の時間にと言っても、巧くはいかないようです。


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